企業機密漏えい源も調査 クライアントの95%は日系企業 [QCAC駿麒国際諮詢]

中国において模倣品が横行しているのは周知の事実。2014年5月、中国で第3次改正商標法が施行されたものの、模倣品問題は巧妙化の一途を辿っており、企業側もさらに高度な対策が求められている。日本でも中国製正規品の模倣品が出回っているという。数百社の顧客を持つ知財コンサルタントのQCAC駿麒国際諮詢は、模倣品対策サービスに加え、16年間培ってきた調査能力を活かして、企業機密や知的財産権情報の漏えい源などを調査する商業機密調査サービスを推し進めている。今年は日本国内で模倣品対策をはじめとした各種相談ができるよう日本拠点も開設する。

分業化と販売店主導型へ

「単なるコピー品だと取り締まり対象になるリスクが大きいため、商標の文字を1文字変えたり、キャラクターの目の向きを変える、などといった手口が増えてきている」と語るのはQCAC駿麒国際諮詢総経理の潘徳山氏だ。

権利侵害は車輌部品、家電製品、文具、食品、農薬など多岐に渡る。また車両部品は浙江や台州など、文具は寧波や潮州で生産されるというように、品目ごとに模倣品生産地が分かれているという。

上述の商標法改正により、罰金額や再犯者への罰則が強化された。このため、権利侵害者はこれまで一つの拠点で模倣品を作っていたが、現在は一つの製品を製造するのに、各パーツを各省から調達している。また模倣品製造も、工場主導の量産型から、店舗主導の受注生産型へとシフト。模倣品工場は店舗からの発注がなければ製造せず、“ジャスト・イン・タイム”の出荷で工場内に在庫を置かない、といった取り締まり対策を徹底しており、模倣品を減らすには発注元である店舗対策が急務となっている。

商業機密調査に注力

QCAC駿麒国際諮詢は98年に広東省で設立、02年に日本政府関連機関の勧めもあり、本部を上海に移転した。サービス内容は4項目に大別される。

1つ目は、知的財産権登録に関連する代理業務、これは特許・商標の代理申請から、模倣業者に対する調査代理、行政機関(工商局、質監局)・公安機関による摘発代理、民事訴訟代理など、権利の申請手続から模倣業者への取締・訴訟まで行う。特に重い処罰が下される刑事摘発は、同社での成功率が高いことに加え侵害行為者の再犯率が低いことから、現在クライアントに勧めているサービスの一つである。

2つ目は日系企業の中国進出に際し、弁護士を通じたアドバイスや、中国系企業のパートナー探しのほか、中国各地で60名ほどいる同社の調査スタッフが、模倣品対策で培った調査経験を活かし、マーケット調査、信用調査、競合企業調査などを手掛けている。

3つ目は対中コンサルティング事業だ。中国の各政府部門との良好な関係を活かし、日本と中国双方向の投資を行う企業をバックアップしている。

最後に、とりわけ同社が今後力を入れていくのは「商業機密調査」だ。近年、日本の企業に務めていた中国人社員が退職後、企業の機密や技術を中国に持ち帰り、新たに会社を立ち上げ模倣品を製造するケースが頻発している。さらにその模倣品を日本の市場で販売するため、日本の同一市場での競争が起こり、同社クライアントの中にはシェアの50%を奪われた企業もいるというほど事態は深刻だ。

「商業機密調査」はこのように企業機密が漏れている事実に基づき、情報源を調査する。技術やノウハウが伴う知的財産権情報の漏えいなども含まれ、これら漏えいの証拠を掴むための高度な調査サービスとなる。模倣品対策で長年培ってきた調査能力や公安部門との連携により、より確かな証拠収集を行い、漏えい源を正確に把握することで企業をサポートする。

日本にも拠点開設

潘徳山氏は日系企業に対し、「予算がないからといって模倣品対策を諦めず、日本の企業文化を熟知している当社に相談して欲しい。戦略的に中国における模倣品問題を観察・分析する必要がある。問題を発見したら主体的に知的財産の保護を行うことが望ましい。また数字だけを見て、(模倣品問題がなくならないので依頼は不要だと)判断するのではなく、模倣品対策をすることで得られる総合的な知的財産保護効果を感じていただければと思う」とアドバイスする。

模 倣品対策案件は多い年で2000件ほどの実績を持つ。クライアント95%は日系企業、その他5%は欧米系企業で、中国系企業は皆無と徹底している。この理由は主に2つある。1つは設立以来、同社は一貫して日系企業へのサービスに尽力してきたこと。2つめは中国系企業をクライアントにし、同中国企業がQCACのクライアントである日系企業の模倣品製造を行っていた場合、両方ともにQCACの顧客であるため、十分に日系企業の利益を保護することができなくなるからだ。

同社は今年、予算の少ない中小企業に対しても相談し易い体制を築くため、日本に代表処を設立し、模倣品対策をはじめとした各種サービスを拡張していく。